世代別“赤み肌”の原因 ―乳幼児・思春期・大人の肌に起こる炎症とスキンケア設計の考え方―

マルホでは、肌悩み解決のサポートができるよう、スキンケアの情報発信に努めております。 2026年6月10日、エキスパート対談「世代別“赤み肌”の原因 ―乳幼児・思春期・大人の肌に起こる炎症とスキンケア設計の考え方―」を配信しました。 今回は、かすがい皮膚科 院長 春日井親俊先生ならびに副院長 春日井一葉先生に、乳幼児期・思春期・大人の肌にみられる“赤み”を伴う皮膚疾患と、日常で取り入れやすいスキンケアについてご講演いただきました。
2026.08.25
監修医師:春日井 親俊 先生
かすがい皮膚科 院長
2002年に愛知医科大学をご卒業後、春日井市民病院にてご研鑽を積まれる。愛知医科大学皮膚科、トヨタ記念病院皮膚科医長を経て、2017年に豊田市にて、一葉先生と共にかすがい皮膚科をご開業。真面目で迅速かつ的確な判断力に定評があり、患者様やスタッフからの信頼も厚い。診察では生活指導にも丁寧に向き合い、患者様一人ひとりの生活スタイルに寄り添った診療を心がけている。企業からの講演依頼も多く、医学の進歩と普及にも尽力されている。
監修医師:春日井 一葉 先生
かすがい皮膚科
2004年に愛知医科大学をご卒業後、中部ろうさい病院にてご研鑽を積まれる。愛知医科大学皮膚科、中部ろうさい病院皮膚科等でのご勤務を経て、2017年に親俊先生と共に、かすがい皮膚科をご開業。穏やかで優しい人柄と芯の強さを併せ持ち、患者様に寄り添った丁寧な診療に定評がある。2児の母として仕事と子育てを両立しながら生活も大切にされており、お弁当作りや読書を楽しむ一面も。美容皮膚エキスパートナース育成協会理事として、人材育成にも尽力されている。
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一生の中で変化する肌と、世代ごとにみられやすい“赤み肌”
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私たちの肌は、紫外線や湿度などの外部環境、加齢やホルモンの変化などの内部環境の影響を受けながら、変化し続けています。医療機関を受診する皮膚疾患にも世代ごとの傾向があり、乳幼児期、思春期、成人期、中年期、高齢期で、それぞれ特徴が異なります。

その中でも、顔の赤みとしてよく見られる代表的な皮膚疾患として、アトピー性皮膚炎、ざ瘡(ニキビ)、酒さの3つが挙げられます。いずれも“赤み”を伴うことがありますが、原因や治療、日常で意識したいスキンケアは異なります。
年代 代表的な疾患 特徴 スキンケアの視点 乳幼児期 アトピー性皮膚炎 皮膚バリア機能が未熟で、乾燥・刺激の影響を受けやすい。 清潔・保湿・紫外線対策を無理なく習慣化。 思春期
〜青年期ざ瘡(ニキビ) 皮脂分泌が増えやすい一方、角層水分量が低く乾燥している。 洗いすぎを避け、水分と油分のバランスを整える。 大人 酒さ 持続する赤み、ほてり、ヒリヒリ感などを伴うことがある。 悪化因子を避け、低刺激で続けやすいケアを選ぶ。 
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乳幼児期に多いアトピー性皮膚炎
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アトピー性皮膚炎は、乳幼児期からよくみられる皮膚疾患です。この時期に多くみられる理由のひとつとして、皮膚のバリア機能がまだ十分に成熟していないことが挙げられます。
皮膚には本来、外からの刺激やアレルゲンの侵入を防ぎ、体の中の水分が逃げるのを防ぐ働きがあります。この役割を担っているのが、皮膚の一番外側にある「角層」です。乳幼児の皮膚は、見た目にはみずみずしく見える一方で、成人と比べると角層や皮膚バリア機能が未熟な状態です。そのため、部位によっては角層水分量が低く、乾燥しやすく、外からの刺激の影響も受けやすいことが報告されています。
実際、乳幼児と成人で肌の水分量を比較したデータでは、乳幼児では成人に比べて角層水分量が低い傾向がみられます。夏の方が冬より水分量はやや高いものの、乳幼児では季節に関係なく、肌が乾燥しやすい状態にあることが分かります。つまり、“うるおって見えても、実は刺激を受けやすい肌”といえます。そのため冬だけでなく、通年で保湿を意識することが大切です。
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乳幼児期のスキンケア ~洗浄・保湿・紫外線対策~
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スキンケアとは、汗や汚れ、アレルゲン、細菌などの刺激物を落として皮膚を清潔にし、保湿によって皮膚のバリア機能を補うことです。皮膚を清潔にして刺激を防ぐことにより、保湿剤や外用薬の効果を高め、皮膚を健康に保ちやすくします。
新生児期からの保湿については、アレルギーのリスクが高いお子さんでアトピー性皮膚炎の発症が少なかったとする報告がある一方、より大規模な研究では同様の予防効果は明確には確認されていません。そのため現時点では、「スキンケアによってアトピー性皮膚炎を予防できる」とまでは言い切れませんが、皮膚のバリア機能を健やかに保つという意味で、早い時期からのスキンケアは大切です。乳幼児スキンケア指導例 1. 洗浄 2. 保湿 3. 紫外線対策 泡で包み込むようにやさしく洗い、ぬるめのお湯で洗い流す。熱すぎるお湯や長時間の入浴は避ける。 お風呂上がりは乾燥しやすいため、できるだけ早めに保湿する。 低刺激性で、石けんで落とせるタイプを選ぶ。普段使いはSPF20〜30程度を目安に。 
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思春期から青年期に多いニキビ~水分と油分のバランスがポイント~
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思春期になると、男女ともに性ホルモンの分泌が活発になり、皮脂分泌量が増加します。特に女性では10代から20代にかけて、男性では20代以降も比較的皮脂分泌が多い状態が続くことが知られています。そのため、思春期から青年期にかけて、ざ瘡(ニキビ)ができやすくなります。
ただし、皮脂が多いからといって“しっかり洗いすぎる”のは逆効果。ざ瘡患者さんでは、健康な肌に比べてTEWL(経皮水分蒸散量)が高く、角層水分量は低いことが報告されています。一見皮脂でベタついて見えても、実は肌の内側はうるおいが不足している、いわゆる“インナードライ”の状態になっていることも少なくありません。このような状態では、皮脂を落としすぎるのではなく、水分と油分のバランスを整えるスキンケアが大切になります。
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ニキビ治療でも重視されるスキンケア
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尋常性ざ瘡・酒皶治療ガイドライン2023では、スキンケアの重要性が示されています。スキンケアは、赤く腫れている急性の炎症期だけでなく、症状が落ち着いた維持期においても大切です。つまり、悪化した時だけ行うものではなく、肌状態を安定して保つために継続して行うことが重要です。
痤瘡患者のスキンケア 洗顔 基礎化粧品選び メイクアップ 1日2回を目安に、洗顔料を用いて、泡をクッションのように使いこすらずやさしく洗う。 ノンコメドジェニックテスト済みで、できるだけ刺激が少なく、肌に合ったものを選ぶ。 QOL改善を目的に、ノンコメドジェニックテスト済みでニキビに配慮した製品を用いて、メイクアップを取り入れることも選択肢の一つ。 
クリニックでは、スキンケア製品のサンプルを用いながら、患者さんの肌に合いそうな製品を提案することもあります。特に男性ではスキンケアの習慣がない方も少なくないため、泡で出てくる洗顔料や、シンプルに使える保湿剤など、“続けやすさ”を意識した提案が役立ちます。
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大人の赤みに隠れていることもある「酒さ」
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酒さは、主に成人の顔にみられる慢性的な炎症性皮膚疾患です。持続する赤みや毛細血管の拡張によって顔が赤く見えることが特徴で、さらにニキビのような丘疹や膿疱がみられることもあります。
実際には、“敏感肌”や“大人ニキビ”と思われている方の中に、酒さが隠れていることも少なくありません。また、酒さは単なる血管の拡張だけでなく、神経や免疫の反応など、さまざまな要素が関わっていると考えられており、ほてり感やヒリヒリ感などの症状を伴うこともあります。酒さの種類 種類 主な特徴 見分けるポイント 紅斑毛細血管拡張型 顔の赤みや毛細血管の広がりが目立つ。 いわゆる“赤ら顔”として見られることがある。 丘疹膿疱型 赤い盛り上がりや膿をもったぶつぶつがみられる。 ニキビと異なり、コメドを伴わないことが特徴。 瘤腫型・鼻瘤 鼻を中心に皮膚が厚くなり、凹凸がみられる。 鼻瘤として認識されることがある。 眼型 目の充血、異物感、かゆみ、乾燥、まぶしさなど。 皮膚症状だけでなく眼症状にも注意。 
酒さはニキビと似た見た目になることがありますが、コメド(白ニキビや黒ニキビ)がみられない点は、鑑別するうえで重要なポイントです。実際に「ニキビだ」と思って受診された方が、診察してみると酒さである、あるいは酒さとニキビが混在しているケースもあります。自己判断だけで決めつけず、皮膚科で正確な診断を受けることが重要です。
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酒さの対処法
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酒さは、複数の要因が関わって発症し、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すことがあります。そのため、薬による治療だけでなく、悪化しやすい要因を避けながら、肌に合ったスキンケアを続けていくことが大切です。自分ではどんな時に悪化しやすいのかを知り、上手に付き合っていくことが、症状を安定して保つために重要です。
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酒さのスキンケア ~製品選びと使い方のポイント~
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酒さの患者さんの肌は、外からの刺激を受けやすく、とても敏感な状態になっていることがあります。そのため、スキンケア用品は、刺激感が少なく、ご自身の肌に合ったものを選ぶことが大切です。使用後にかゆみや赤みが強くなる、刺激感がある、乾燥が気になるといった場合には、その製品が肌に合っていない可能性があります。
また、心理的なストレスも酒さの悪化因子のひとつと考えられています。自分なりのリラックス方法を見つけ、できるだけストレスをため込まないことも大切です。マスクによる蒸れや熱のこもり、熱すぎるお風呂や冷水のシャワーなど、急激な温度刺激にも注意しましょう。
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毎日のスキンケアも、治療を支える大切な要素
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乳幼児期から成人にかけて、肌は外部環境やホルモンの影響を受けながら変化し続けています。アトピー性皮膚炎、ニキビ、酒さといった顔の赤みを伴う皮膚疾患では、治療だけでなく、日常のスキンケアも重要です。
実際にガイドラインでも、洗浄・保湿・紫外線対策といったスキンケアを継続することが、症状の改善や再発予防につながるとされています。つまり、薬だけではなく、“毎日のスキンケアも治療の一部”として考えることが大切です。
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先生からのメッセージ
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最後に春日井親俊先生からは、スキンケアは“特別なこと”ではなく、毎日の積み重ねが大切であること、無理のない範囲で自分の肌に合ったケアを続けることが症状の改善や再発予防につながる、とのメッセージをいただきました。
また春日井一葉先生からは、皮膚疾患の治療では薬物療法に加えて日常のスキンケアを適切に行うことが重要であり、すべての方に同じスキンケアが合うわけではないため、ご自身の肌状態に合わせて無理なく続けられる方法を見つけていただきたい、とのお話がありました。以上、エキスパート対談「世代別“赤み肌”の原因 ―乳幼児・思春期・大人の肌に起こる炎症とスキンケア設計の考え方―」スキンケアセミナーレポートでした。
同じ“赤み肌”に見えても、年代や疾患によって背景は異なります。肌の状態に合わせたスキンケアを日々の習慣として取り入れながら、気になる症状がある場合は医療機関で相談しましょう。
次回の皮膚科医師セミナーもご期待ください。
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